テーピングは皮膚感覚を変化させ脳の調節を起こす

テーピングは
皮膚感覚を変化させ
脳の調節を起こす

テーピングは、関節運動の可動域を制限させたり、促したり、補強したり、安定させたりする効果があると言われています。また筋力を発揮させる効果や鎮痛効果もあるとされています。

テーピング

 

テーピングによる安定化は「皮膚感覚」によるものという研究があります。関節を構造的に安定させるのではなく、皮膚のひずみによる入力信号の変化と、固有感覚を敏感にさせる効果が安定性に寄与しているという事です。構造ではなく感覚の変化です。

「理学療法士は、関節のテーピングがその「安定性」を改善すると長い間主張してきた。しかし、テーピングは、膝や足首のような大きな関節の安定性に機械的に寄与することはほとんどないことが知られている。」

「テープなどの「安定化」効果は、皮膚からの体性感覚流入の変化によるものである可能性がある。」

 「 関節運動は必然的に皮膚のひずみの変化に関連している。 テープが特定の皮膚領域を不動にすると、動きは他の皮膚領域では通常よりも大きなひずみを引き起こす。」

  「事実、いくつかの報告では、膝関節付近のテーピングだけでも、対象者が健康かどうか、十字靭帯損傷を受けたかどうか、膝関節症に罹患しているかどうか、にかかわらず、被験者の固有受容性感覚の鋭敏さが効果的に改善されると主張している。」

Cutaneous afferents provide information about knee joint movements in humans.
Benoni B Edin

 

テーピングでは筋力の変化はないという研究です。つまり筋力を出させるためにテーピングをするという事には無理があります。

「被験者の大腿四頭筋に適用されたキネシオテーピングの最大筋力に対する即時効果を調べた。

ベースラインと比較して、3つのテーピング条件のいずれも、筋力およびパフォーマンスにおいて有意な変化を示さなかった。」

「結論:抑制キネシオテーピング、促進キネシオテーピング、偽キネシオテーピングの適用直後に四頭筋の最大の強さに有意な効果を示さなかった。 これらの結果は、健康な人々の最大筋力を変えるためにこのように適用されたキネシオテーピングの使用を支持しない。」

Immediate effects of kinesiotaping on quadriceps muscle strength: a single-blind, placebo-controlled crossover trial.
Vercelli S1, Sartorio F, Foti C, Colletto L, Virton D, Ronconi G, Ferriero G.

 

テーピングは、膝蓋大腿疼痛の人の疼痛減少を起こすが、外側広筋の活性による差はないという研究です。

「膝蓋大腿疼痛を有する人における階段歩行中の外側広筋の活動、動力学、運動学に対する膝の膝蓋テーピングの効果を判定する。膝蓋骨のテーピングは、膝蓋大腿疼痛患者の一般的な治療法です。しかし、膝蓋骨のテーピングが歩行変数を改善するかどうかに関する特定のデータは限られている。」

「結果:平均して、テープ貼付後に痛みの92.6%が減少したことが観察された。階段の昇りと下りの両方について、テープ処理された状態で、歩数、膝屈曲角、膝伸展運動の増加が観察された。しかし外側広筋の筋電図に差は認められなかった。」

The effects of patellar taping on knee kinetics, kinematics, and vastus lateralis muscle activity during stair ambulation in individuals with patellofemoral pain.
Salsich GB1, Brechter JH, Farwell D, Powers CM

 

膝前部痛症候群へのテーピングの効果についての研究があります。この結果は、疼痛の減少効果はある。しかし、膝蓋骨へのテーピングが膝蓋の位置を制御させて痛みを減少させているのではなないという事でした。

「膝前部痛症候群(AKPS)は、スポーツ医学の臨床医にとって重要な課題である。AKPSの1つの病因は、内側広筋斜頭(VMO)の制御が不良であり、膝蓋の横滑りを引き起こす。膝蓋骨のテーピングは、VMOの制御を増加させることが提唱されている。この研究の目的は、膝蓋骨の位置および知覚される痛みに対する膝蓋骨のテーピングの影響を決定することであった。」

「結果:膝蓋骨へのテーピングが、ステップダウン時に知覚される疼痛レベルを有意に減少させたことを実証している。しかし、この痛みの軽減は、膝蓋骨の位置変化と関連していなかった。」

Effects of patella taping on patella position and perceived pain.
Bockrath K1, Wooden C, Worrell T, Ingersoll CD, Farr J.

 

膝蓋へのテーピングは、脳の活動を調整しているという研究です。

「膝蓋へのテーピングのない固有受容感覚テストは、内側補足運動野、帯状皮質運動野、大脳基底核、視床、内側一次感覚運動野において、ポジティブな血中酸素濃度依存型(BOLD)反応を両側に生じさせた。

膝蓋テーピングを用いた固有受容感覚タスクに関しては、これらの領域においてBOLD反応が減少した。外側の一次感覚野において、テーピングを伴う固有受容感覚タスクの活性は、少ないネガティブなBOLD反応があった。」

「結論:この研究は、膝蓋へのテーピングが、固有受容感覚の膝運動タスクの間に、脳のいくつかの領域で脳活動を調節することを実証した。」

Effects of patellar taping on brain activity during knee joint proprioception tests using functional magnetic resonance imaging.
Callaghan MJ1, McKie S, Richardson P, Oldham JA.

まとめ

テーピングは、疼痛の減少、運動の向上、固有感覚の鋭敏化など様々な効果があります。

しかしそれらは、筋肉を活性させるからではなく、関節構造を機械的に安定させるからでもないとうこと。

疼痛や運動の向上という効果は、皮膚へのテンションや刺激が固有受容感覚を変化させ、脳を変化させることで起こっています。

疼痛の減少も脳の変化や皮膚への刺激によって起こっています。

それ以外にも、皮神経の絞扼へのテーピングの効果で血流が変化し、神経内のC線維の活性が下がり、侵害受容信号が減り、脳のアウトプットである疼痛が減り、可動域の改善や調整が起こっていることも考えられます。

構造や筋力ではなく、皮膚感覚や中枢神経という「神経系」を大切にすることが重要です。