筋膜の神経(筋膜リリース、神経科学)

筋膜の神経


筋膜とは主に筋肉を包むラップのような存在。その筋膜にも神経は分布しています。

膜
近年、筋膜の様々な機能が注目され、筋膜へのアプローチが一般化されています。

その筋膜と神経との関係では、シュライプ氏の文献が参考になります。

-筋膜と筋肉-

筋膜には平滑筋があり、それは自律神経系の働きと密接に関与している可能性がある。

-チクソトロピー効果では説明できない-

筋膜の軟化を手で感じ取るということが、筋膜系の本には書いてあります。チクソトロピーとは、粘度の時間的変化のこと。ある力が加わるとゾル(固体)から粘度が低下しゲル(液体)に変化する。

しかし、これは通常の手技内においては起こり得ません。

手で筋膜のコラーゲン繊維を伸ばすには、「60kg以上の力」と、「1時間以上の時間」がかかる。また永久的な伸長をおこなうということは、コラーゲン繊維を損傷させるということです。

-筋膜の神経-

麻酔下では組織の軟化という変化が起こらないという実験があります。
目が覚めていると起こる、これは神経系の反応によるもの。

筋膜には、パチニ(振動と圧力に反応)、ルフィ二(伸展に反応)がある。
伸展によるルフィ二の活性化は、交感神経系の活動を減少させている可能性もある。

感覚神経のうち感覚受容器は20%、残りの80%の殆どは無髄の自由神経終末(痛み、熱刺激、化学刺激、機械刺激)。深い圧力をかけると、ルフィ二とこれらの細い神経を刺激し、迷走神経(副交感神経)を活性化させる可能性がある。

経穴(ツボ)と神経の出口点

筋膜の穴から神経が出てくる出口点の82%は経穴と一致する。出口点は神経が絞扼し易い部位。また、骨の上を通る部位も同じ状況だと考えられる。

まとめ

筋膜へアプローチ(筋膜リリース、筋膜ストレッチ)というのもありますが、実際は筋膜に存在する神経系への働きかけによる変化、という可能性が高いと考えられます。

パチニやルフィニという感覚受容器や、自由神経終末であるC線維によるインプット、自律神経系(交感神経、副交感神経)の変化、脳からの下行性調整、オピオイド、神経根による疼痛抑制など、さまざまな影響も考えられます。

※参考文献:
Fascial plasticity ,Robert Schleip
www.somatics.de/schleip2003.pdf